Tokyo Contemporary Art Award

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サエボーグ

オーストラリア(シドニー)2022.7.11-8.4

シドニー現代美術館(MCA)での展覧会参加に加え、オーストラリアにおける動物と人間の共生や生命デザインのあり方の調査・研究を行った。さらに福祉を視野にいれた調査を踏まえて、実験的な活動を行った。

  • 「Ultra Unreal」展示風景、シドニー現代美術館、2022 撮影: アレックス・デイヴィス

    企画展「Ultra Unreal」に参加。「Slaughterhouse」と「Pootopia」のインスタレーションの設営と、オープニング・プログラムの一環としてパフォーマンスを3日間行った。
  • 「Ultra Unreal」展示風景、シドニー現代美術館、2022 撮影: アンナ・クセラ

  • 「Ultra Unreal」展示作品と作家、シドニー現代美術館、2022 撮影: アンナ・クセラ

  • 生物学者であり、西シドニー大学(Western Sydney University)准教授のベン・ムーア博士による野生のコアラの追跡調査に同行。植物と動物の相互作用、パンデミック以降の気候や景観の変化によって生態系がどのように変化しているのかを中心にインタビューを行った。
  • 企画展「Ultra Unreal」の参加アーティストでClub Ateメンバーのジャスティン・ショルダーとブロンテ・ビーチにてシュノーケリングをした後、インタビューを行った。
    オーストラリア、フィリピンなどアジア太平洋地域のクィア・シーン活性化のための活動の話を軸に、昨今の強制的な社会的断絶と深刻化する気候危機について意見交換をした。

展覧会参加のほか、動物保護施設の訪問を行うことが本リサーチの一番の目的であったが、施設のほとんどが新型コロナウイルス感染症拡大の対応に追われていることを理由に外部の見学を受け入れておらず、残念ながら叶わなかった。しかし、現地では野生のコアラの追跡調査に同行する機会を得て、コアラの調査をとおしてわかる最近の環境問題など、貴重な話を聞くことができた。シドニーではパンデミック以降、異常気象が続いており、滞在中も雨が降り続いていた。災害大国である日本のようにはインフラが整ってないため、よりダメージも大きいのかもしれない。その関係もあってか、環境や自然をテーマにした展示を多く目にした。

ドイツ、コソボ(プリシュティナ)、イタリア、ポーランド、フランス2022.9.16-10.8/11.4-12.1

欧州各地を横断し、複数の国際展や企画展を視察した。脱西洋中心主義を意識した展示を多く見かけたが、中でも、EUに加盟していないコソボ共和国のプリシュティナで開催された「マニフェスタ14」に存在感を感じた。

  • 「マニフェスタ14」の会場となったプリシュティナの街並み

  • 「マニフェスタ14」展示風景、プリシュティナ、コソボ、2022

    同芸術祭には同じく欧州に滞在していた津田道子も同行した。

イギリス(バーミンガム、コヴェントリー、オックスフォード、ロンドン)2022.10.8- 11.4

イギリスのバーミンガムで開催されたフェスティバル「Fierce Festival 2022」に参加し、展示とパフォーマンス、トークショー、ワークショップを行った。また、同フェスティバル招聘アーティストたちのパフォーマンスの視察やワークショップへの参加をとおして、多くの人と交流を持つことができた。

  • 「Fierce Festival 2022」展示作品と作家、シンフォニー・ホール、バーミンガム、イギリス、2022

  • 「Pigpen」公演風景、7SVN、バーミンガム、イギリス、2022

  • 「Fierce Festival 2022」での作家によるワークショップの集合写真、バーミンガム、イギリス、2022

欧州滞在中に視察した展覧会やフェスティバルでは、自身の制作と関わりの深い、ポスト・ヒューマン、ノン・ヒューマンをテーマとした作品が圧倒的に多く見られた。特に、「Fierce Festival 2022」への参加では、同フェスティバルの主題である動物と人間の関係に焦点を当てた作品やパフォーマンスを間近で体感することができ、非常に得るものが大きかった。長期の欧州滞在という初めての経験に、文化や言語の違いで困惑する場面も多かったが、その不自由な状況を自身が動物になったという視点で捉えて、人から助けてもらうこと、人と何かをシェアすることの喜びを意識しながら楽しむことができた。現在、この経験を踏まえた新作を制作している。

テキスト・写真提供:サエボーグ
編集:トーキョーアーツアンドスペース